チームリーダーの鈴木もポジションが与えられているわけではない
鈴木大地の目の前にはいつもと違う景色が広がっていた。2月26日に行われた
オリックスとの練習試合(SOKKEN)で2年ぶりに「二塁」を守ったのだ。6回二死一、三塁、
中村奨吾の代打に出ると、3年連続全試合となる143試合に出場した昨季の主戦場の三塁ではなく、そのまま二塁へ入った。
「三塁がすべてではないし、試合に出ることが一番。1分1秒でも自分をアピールしていきたい」
遊撃から二塁、そして三塁へと2度のコンバートを経験してきた。すべてはレギュラーとして、さらなる活躍を期してのものだった。ただ、今季は事情が違う。定位置の三塁には通算131本塁打の
レアードが
日本ハムから移籍。2年目の大砲候補・
安田尚憲の成長も著しい。いつの間にか、約束された定位置はなくなり、同27日の
楽天戦(サンマリン宮崎)では試合途中で一塁にも入った。
それでも、今季から
角中勝也に代わり選手会長も任されている29歳は暗い顔一つ見せない。人一倍、元気に動き、グラウンドで誰よりも明るい表情をしている。「今までの自信が邪魔になることもある。どうなっても後悔しないよう、全力で取り組んでいます」。6年間にわたってレギュラーを張ってきたプライドは捨て去り、ゼロから挑戦する気持ちを持った。
便利屋と呼ばれるのは上等だ。振り返れば常に挑戦する側にいた。そうやって生きてきた。努力の先に成果はある。背番号7のユニフォームはきっと、開幕戦のグラウンドで見ることができるはずだ。
写真=BBM