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楽天・辛島航投手 今季に懸ける強い思い/生え抜きの意地

 

貴重な先発左腕だ



 まったく表情を変えずに、辛島航はマウンドを駆け降りた。3月12日、DeNAとのオープン戦(静岡)。先発した左腕は4回を投げて1安打無失点。4奪三振の好投を見せた。

 風速7メートル以上の強風が吹く中での投球。直球の最速は134キロながら、カーブとチェンジアップを低めに集め、相手打線を封じた。「この状況の中で低い球で打ち取ろうと。状態が悪い中でも対応できたことはよかった」と淡々と語った。

 意欲的に汗を流してきた。久米島キャンプ第2クール初日(6日)以降はほぼ連日、ブルペンで投げ込み。「おかわり」する日も珍しくなかった。佐藤義則二軍投手テクニカルコーチがその意図を問うと、こう答えた。「これ以上になってやろうという気持ちが、この僕にも少なからずあるんです」。昨季は4勝9敗、防御率4.05。今季に懸ける強い思いが透けて見えた。

 則本昂大が3月11日に右ヒジのクリーニング手術に踏み切り、全治4カ月と診断された。先発投手のコマ不足に悩むチームで、貴重な左腕にかかる期待は大きい。「ノリ(則本昂)が万全で帰ってくるまで、1人ひとりができることを精いっぱいやる」と力を込める。

 東日本大震災が発生した2011年から在籍する現役選手は、辛島を含めて嶋基宏銀次ら7人だけとなった。同年、仙台で被災した左腕は震災から8年が経過した11日に「自分は野球しかできない。野球で結果を残すしかない」と意気込んだ。被災地にある球団の生え抜き選手として、意地を見せる。

写真=BBM
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