内外野を守れるユーティリティーさが武器だ
西武のムードメーカーといえば、この男の右に出る者はいないだろう。プロ9年目の
熊代聖人、29歳。昨季、試合前の円陣で、自ら“訓示”と称した小噺で笑いとナインの闘争心をあおり、優勝を目指すチームの士気を高めた。
声での貢献度の高さを評価されることに対し、「そう言っていただけるのはありがたい」と素直に喜びつつも、やはり本業は野球。本心は「一番はプレーで貢献したい」と厳しい表情で話す。昨季は25試合出場で無安打に終わっただけにリベンジに燃える思いは相当だ。4月9日の
楽天戦(県営大宮)に「九番・三塁」でスタメン出場し、2016年4月8日の
ロッテ戦(QVCマリン)以来となるヒットを記録したが、まだまだ物足りないだろう。
内外野に加え、昨季途中には捕手の練習も行っているように守備でのユーティリティーさが最大の武器。チームの打線は12球団屈指の破壊力を誇っており、レギュラー奪取は相当ハイレベルな競争を勝ち抜かなければならない。その中で、もちろん選手としてレギュラーを目指していることは言うまでもないが、一方で『スーパーサブ』のポジションに自らが生きる道を見いだしていることも確か。
「自分がどのピースを埋められるかということを考えてやりたい」
盛り上げ役も含め、自分にしかできない役割で、チームのリーグ連覇に貢献してみせる。
いじられキャラのため、「なんか言ってるな〜という感じ」など、“訓示”に対して同僚たちからの素直な称賛の声は聞かれないが、円陣が解けた後、チーム全員は笑顔である。実は、話す内容は
炭谷銀仁朗(
巨人)の助言も多かっただけに、その存在がいなくなった今季は真価の見せどころ。注目点の1つとして楽しみにしたい。
写真=BBM