キャンプ中もあちこちを行ったり来たり。選手への声掛けも目立った
ムードメーカー。広辞苑には「その場の雰囲気を盛り上げる人」とある。「明るくなった」と言われる今季の
中日。中心にいるのは
与田剛監督だ。
昨年10月の就任会見でこう言った。「最初は探り合いになると思う。僕も選手たちと腹を割って話したことがない。嫌われてもいいから自分からいこうかなと思っている」。有言実行。昨秋、そして今春のキャンプでも、その動きは目立っていた。
ブルペンでは「ナイスボール」と声を上げる。グラウンドの内外を精力的に動き回り、全ての選手に声を掛ける。
中村武志バッテリーコーチが捕手陣を指導しているのを見るや「コーチに手本を見せてもらわないと」と突っ込み、場を和ませる。
意思疎通を密に取る姿勢は、首脳陣にも浸透している。まずは選手が何に取り組んでいるのかを把握し、提案する。だが、考えを押しつけることはない。キャンプの個別練習でも一、二軍ともにコーチと選手が話し込む姿が頻繁に見られた。
「首脳陣と選手は一緒に戦っている」。そんな思いは選手にも確実に伝わっている。昨季0勝からの復活を期す
大野雄大は「何でも聞きに来いと言ってもらえているし、監督、コーチとの壁をあまり感じない。プラスに働いているのは間違いない」と明かす。主将に任命された
高橋周平も、意を酌んで積極的に声を出してけん引する。6年連続Bクラスからの脱却へ。指揮官がつくりだした雰囲気は、結果に結び付くか。
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