初の開幕一軍。それどころか『七番・二塁』で開幕スタメン。
与田剛監督の抜てきに、阿部寿樹が見事に応えている。「僕はとにかく打つしかないので」。その言葉どおり、バットで結果を残している。4月5日の
ヤクルト戦(神宮)では、3シーズンぶり、2本目となる本塁打をマーク。その後も高打率をキープし、チームに欠かせない存在となりつつある。
昨年は
DeNAの
宮崎敏郎を参考にした打撃フォームだったが、今年は大幅にチェンジ。「できる限りムダな動きをしないように」とシンプルな打ち方にした。調子を落とすと、すぐにフォームをいじりたくなるそうだが、今年はそれもキャンプから我慢してきた。
ナゴヤドームでの試合後、阿部が帰宅の途に就くのはいつも最後のほう。デーゲーム、ナイターにかかわらず、試合後にマシン相手に打ち込んでいる。「練習量が足りなくなるので。ファームだと試合が終わってからも(練習を)できていた。鍛えるという意味でやっています」。気になったポイントをすぐに整理し、さらには鍛えて振る力を強くする。地道な努力も怠ることはない。
阿部の能力を見いだした与田監督は「彼は追い込まれても2ボール、3ボールまで粘れる能力がある。非常にピッチャーにとっては嫌なバッターじゃないかな。長打力もあるし」と評する。
バーのマスターのような風貌から、
伊東勤ヘッドコーチに『マスター』と命名された阿部。新しいニックネームも、徐々に名古屋で定着しつつある。
写真=BBM