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ロッテ・種市篤暉 スピード以上に“質”を求める/わがチームの速球王

 

先発再転向で先発ローテに加わった20歳の種市


 一気にその「壁」を突き破った。4月5日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)、4回に2番手として登板し、3回を無失点に抑えた種市篤暉のストレートは最速153キロを計測した。

「昨年、初めて150キロが出た。単純にそこは超えてみたいと思っていた数字でした」

 昨年7月、地元凱旋となったフレッシュオールスター(弘前)で153キロを出し、注目を浴びた。ただ昨季は7試合に先発して0勝4敗、防御率6.10と一軍では通用しなかった。昨季の映像を見返してみると、「なぜ一軍で投げられていたんだろうというくらいのフォームだった」と種市は振り返る。

 今年1月、ソフトバンク・千賀滉大の自主トレに入門し、体の使い方を学んだ。また、メジャー・リーガーの間で流行する100グラム〜2キロの重さの違ったボールを使ったトレーニングも取り入れ、球速は目いっぱい力を入れずとも平均で150キロに迫る。

 そうすると追い求めるものはスピードだけではなくなった。「スピードは出ても指に掛かったボールでなければ打たれる。まだまだ、力んで投げている」。今季は徹底的に質にこだわる。

 今季途中に中継ぎから先発に再転向し、山本由伸との同学年対決を制した5月16日のオリックス戦(ZOZOマリン)まで3連勝。積み上げてきたものが形になって表れてきたが、「手応えは……まだ、ないですね」と満足感はない。

 5月30日の日本ハム戦(札幌ドーム)では自己ワーストの11安打8失点で今季初黒星を喫した。それでも、井口監督が期待する「将来のマリーンズを背負って立つ投手」へ、この男に妥協はない。

写真=BBM
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