広島の速球王と言えば、フランスアをおいてほかにない。昨年9月21日の
阪神戦(マツダ広島)で自己最速の158キロをマークした。1点リードの8回二死二塁で、糸原へのカウント2―2からの5球目。ファウルとなったストレートが、自己最速を1キロ更新した。日本球界の左腕では
中日ジョエリー・ロドリゲスの159キロに次ぎ、
西武・
菊池雄星(現マリナーズ)に並ぶ歴代2位の記録となった。
速球派ぶりは、昨年のクライマックスシリーズでも証明した。10月17日、
巨人とのファイナルステージ第1戦(マツダ広島)。8回に登板し、先頭の坂本勇を3球三振。3球目に158キロをマークした。そこまで、コンディショニングの調整のため戦列を離れていたが、健在ぶりを証明。「真っすぐがよかった。肩は大丈夫」と話した。
今季序盤はスピードこそ昨年終盤に及ばないが、着実にチームの勝利に貢献している。5月5日の「こどもの日」の巨人戦(マツダ広島)は、よほどのことがなければ休養することになっていた。それまで3日連続で投げていたからだ。だがその「よほどのこと」が起こる。同点で延長に突入し、両チームともリリーフ陣をつないで試合が動かなくなった。同点の延長12回、ついに7番手として指名された。初の4連投となったが、坂本勇、丸、岡本を三者凡退させ「大丈夫」と頼もしかった。
気温が上がってくれば腕の振りがよくなり、球速も上がってくるはず。速球王フランスアが本領を発揮するのはこれからだ。
写真=BBM