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日本ハム・西川遥輝 発揮されたスピードスターの本能/足で魅せる

 

自慢の足で今シーズンも相手チームの脅威の存在となっている西川


 この男のスピードでもぎ取った大きな1勝だった。4月14日のロッテ戦(札幌ドーム)。試合終盤に入った7回裏の攻撃。直前に相手の暴投で同点に追いついて二死一、二塁の場面で二走は西川遥輝。「本当に行く気はなかった」と試合後に振り返ったが、スピードスターの「本能」が体を突き動かした。三番・近藤の初球で三盗を仕掛けた。

 勇気あるチャレンジは見事に吉と出た。悪送球を誘って一気に生還。値千金の決勝のホームを踏んだ。的確な状況判断もできていたからこそ、走塁でのビッグプレーにつながった。

 西川はまず三塁手の守備位置を確認していた。守っていたレアードは「下がっているな……」とベースからやや離れるようなポジショニングだった。相手投手の様子もしっかり伺っていた。暴投を投げたばかりの左腕・松永は初球を投げる際に二塁走者へ目線を送るそぶりもまったくなかった。「こっちを見ないなと思って、そのまま行っちゃえ……みたいな」。やるべきことをやっていたから無意識でも最高のパフォーマンスを出せた。

 昨季まで2年連続で、通算では3度の盗塁王になった足のスペシャリストは、走って結果を残せるだけの根拠と実績を持つ。相手バッテリーの警戒は年々増している状況だが、打ち破れる技術や経験も持ち合わせる。

打つ、投げる、守るだけではない野球の魅力を、背番号7は今日もグラウンドで体現している。

写真=BBM
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