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ロッテ・佐々木千隼 巻き返しは復帰勝利だけでは終わらない/あのドライチは今──

 

久々の勝利を手にした佐々木


 お立ち台に上がった背番号11は目を潤ませていた。「ちょっと泣きそうです」。普段より強く唇を合わせ、こらえているように見えた。7月9日の日本ハム戦(ZOZOマリン)で7回5安打1失点。ルーキーイヤーだった2017年9月21日の西武戦(メットライフ)以来、656日ぶりの白星だった。

「ここまで長かったけど、チャンスをものにしたかった。もう少し早く復帰したかったですけど、長い時間がかかってしまいましたね。一軍のマウンドで勝ちたい、という思いでリハビリしてきました」

 桜美林大ではドラフトの目玉。16年秋のドラフトで、外れ1位では史上最多の5球団が競合した。1年目から4勝を挙げたが、代償に右ヒジは悲鳴を上げていた。「2年目が始まるときは痛みがあった。途中、右手で歯を磨けないほどでした。それが消えるならばと手術しました」。2年目の途中まで、だましだましに投げていたが、一軍に呼ばれるほどの投球はできず、昨年7月6日、右ヒジにメスを入れた。

 本格的な投球再開までは長くても5カ月と言われていたが、復帰できるはずの時期が来ても痛みが引かず「また野球ができるのか?」という不安が脳裏をよぎった。恐怖から右ヒジが下がる投球フォームになり「打者から見やすい」と指摘されたこともあったが、一つひとつ課題をつぶし、この舞台へと戻ってきた。

「チャンスをいただければ、勝ちを積み重ねていきたい」。佐々木の巻き返しは、復帰勝利だけでは終わらない。

写真=BBM
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