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楽天・田中和基 新たな挑戦を始めたスイッチヒッター/このままでは終われない!

 

自らの力を信じて苦境を打破する


 やっと笑った。8月10日のオリックス戦(楽天生命パーク)。2回だった。田中和基が、山崎福也の外角直球を強振。バックスクリーンへ運んだ。ようやくの今季1号を「甘い球は積極的にいこうと思っていました」と笑顔で振り返った。

 2年目の昨季は、18本塁打、21盗塁をマークして新人王に輝いた男が、もがき、苦しんだ。3月の台湾遠征中に右足首を負傷。約3週間後の同月下旬、戦列に復帰はしたものの、開幕から不調にあえいだ。5月には左手三角骨骨折との診断を受け、戦線を離脱した。「自分が試合に出られない歯がゆさはありました」。

 スイッチヒッターは試行錯誤を繰り返しながら、新たな挑戦に取り組んできた。昨季までは左右両打席ともノーステップ打法。今季から浅村の影響を受け、右打席だけ足を上げるように変えた。

 5月の離脱前まで、右打席は27打席で21打数無安打。左手首痛の影響もあって結果は残せなかったが、打法は変えるつもりはなかった。「足を上げることで、下半身の力を使ったスイングが少しずつできてきている」。さらなる成長のため、「産みの苦しみ」も覚悟して自らと向き合ってきた。
 
 8月24日終了時で打率.194。まだトンネルを抜け出せたとは言えないが「焦りはないです。今はとにかく自分のできることをやって、チームに貢献したい」。攻守走が高いレベルでそろったスイッチヒッターが、勝負の終盤戦で真価を発揮する。

写真=BBM
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