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広島・床田寛樹 苦しいときを過ごしたからこそ前向きに/復活の1年

 


 あと1カ月頑張ろう。もう1カ月頑張ろう。床田寛樹は、自らに言い聞かせるように、毎日を過ごしている。一軍戦力としてフル回転するのは初めて。自分で決めたルーティンなど何もなく、調整法はいつも手探りだった。

 プロ1年目の2017年に、左ヒジの「トミー・ジョン手術」を受けた。開幕ローテーションに入りながら、3試合を投げたところで左ヒジ痛を発症。重傷であることが判明した。長いリハビリを経て昨年8月に二軍戦で復帰。今季開幕から一軍に戻った。

 苦しいときを過ごしてきたからこそ、前向きな姿勢を忘れない。5月24日の巨人戦(東京ドーム)で5勝目を挙げて以降、2カ月も勝ち星から遠ざかった。救援が打たれて6勝目が幻になった試合が3試合もあった。それでも「それはしょうがない」と、後ろを振り返らなかった。

 そんな姿勢が7月27日のヤクルト戦(神宮)で報われた。6回5安打2失点でリリーフに後を託したが、遠藤、今村、フランスアが無失点リレー。1点のリードを守り切り、8試合ぶりの勝ち星をプレゼントしてくれた。「やっぱり勝つっていいですね」。はじけた笑顔が、我慢の日々の苦しさを物語っていた。

 疲労がたまり、8月11日に出場選手登録を抹消されたが、24日に再登録。同日の中日戦(ナゴヤドーム)で6回1失点(自責0)と好投した。30日のDeNA戦(マツダ広島)でも7回2失点。リリーフが打たれるケースが続き、7勝目は手にしていないが(9月3日現在)、健在ぶりを示した。復活ストーリーはまだ続く。

写真=BBM
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