移籍2年目の今季、内野の要としてDeNAを支えている
状況を踏まえれば、値千金のプレーだった。9月1日の敵地・マツダ
広島は、DeNAが3対2で勝って広島との上位対決を勝ち越した重要な一戦となった。本塁打キングに立つ
ソトの34号同点2ラン、
今永昇太のリーグ単独トップ13勝目と主役の活躍が光った一方で、遊撃の名手・
大和の好プレーが接戦で効いていた。
逆転して迎えた7回の守備だった。今永が先頭打者に安打を許し、八番・
三好匠の送りバントは少しだけ勢いが弱かった。処理した捕手・
戸柱恭孝の勇気ある二塁送球に対し、ベースカバーに入った大和は一塁手の捕球のように右足を伸ばして間一髪で封殺。堅実な判断だが、大和はそれで終わらせなかった。ステップする間もつくらず、まるでランニングスローのように左右の足を入れ替えて一塁に送球。刹那の差で打者走者も刺し、併殺完成でピンチの芽をもぎ取った。
広島側からリクエストが申告されたため、このプレーは球場ビジョンに繰り返し映し出された。
大和は幼少期からの壁当てで、捕球の型、ボールを当てるグラブの位置、スローイングに移す動作などのアイデアを増やしてきたという。一見の派手さではない玄人好みの部分にこそ大和のすごみがあるが、それを差し引いても今季の安定感は、遊撃手のゴールデン・グラブ賞の有力候補と言える。
阪神時代の2014年に外野手部門で受賞しており、内外野となればセ・リーグではGM(当時)として自らをDeNAに導いた
高田繁以来2人目の快挙となる。
写真=井田新輔