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中日・ロメロ 七転八起のシーズン/助っ人通信簿

 

しっかりと日本の野球にアジャストしたロメロ



 試行錯誤と一進一退。ロメロの1年目を四字熟語で表現するならば、この2つが当てはまるだろう。打席では配球を読み、出塁すれば脚を絡ませる。緻密な日本の野球に適応するのには、時間が必要だった。

 開幕当初は順風満帆に見えた。4月4日の広島戦(ナゴヤドーム)で来日初登板初勝利を挙げ、4月は3試合で2勝0敗、防御率0.95。150キロ台中盤の直球は球威十分。前年にチームトップの13勝を挙げ、阪神に移籍したガルシアの穴を埋める活躍を予感させた。

 転換点は5月2日の巨人戦(東京ドーム)。5回、岡本和真に天井に当たる不運な同点打を許した直後、捕手のサインに首を振って投げ込んだ直球を、陽岱鋼にとらえられた。勝ち越しの3ランに、マウンドにグラブをたたきつける。5イニング6失点で初黒星。悪戦苦闘が始まった。

「打たれるなら自分の得意な球を打たれるほうが悔いが残らない」。そんな思考を見透かされたかのように、再三再四、ピンチで頼った直球を狙われ、伊東勤ヘッドコーチは「変化球を使えばもっと楽に抑えられるのに」と嘆いた。

 結果が出なければ、変化球の重要性を説き続ける首脳陣の声に馬耳東風ではいられない。交流戦を境に変化球を交えるように。首を振って変化球を投げることも覚えた。8月30日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)で8勝目。「最初よりできることは増えている」。ロメロと首脳陣は二人三脚で調整を続けていた。

 クライマックスシリーズ進出には1敗もできない状況で迎えた9月24日のDeNA戦(ナゴヤドーム)。一球入魂の思いでマウンドに上がったが、初回から一死一、二塁と絶体絶命のピンチで、宮崎敏郎に3ランを浴びるなど4失点を喫した。大きな失点を打線が取り返すことができず、そのまま敗れた。一敗塗地。

 捲土重来なるか――。ロメロの去就は未定だが、来季、この悔しさを晴らしたい。


写真=BBM
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