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ロッテ・涌井秀章 チームを踏みとどまらせた背番号18/2019年ベストゲーム

 

快投でチームを上昇気流に乗せた涌井


 潮目が変わった試合だ。4月16日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)。開幕14試合で借金は6。先発投手に白星がついたのは4月6日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で6回2失点だった二木康太のみで、歯止めが利かない状態だった。

 先発マウンドに上がったのは涌井秀章。3回二死二塁以降、パーフェクトに抑え、西武のユニフォームを着ていた2010年7月16日のロッテ戦(千葉マリン)以来、9年ぶりの無四球完封でチームの連敗を4で止めた。「いつも四球を出すので、今日はそれがなかったことがよかった」。

 この夜はバックネットに当たる風がはね返ってくる「逆風」だった。このZOZOマリン名物を「追い風」に変えた。「低く押さえつけて投げると球が浮くんです」。進行方向へ時計回りに回転するストレートはアゲインストの風で浮力を得る。低くボール気味に投げた直球が、ことごとくストライクゾーンへとホップした。3回二死二塁から実に19打者連続アウト。27アウトの約半分に当たる13アウトが、フライだった。

 背番号18の生み出したリズムは打線を刺激した。1対0の3回二死満塁では新加入のレアード東浜巨から満塁弾を放ち、「グランドスラムは3年ぶりだね」。チームはここから4連勝とし、息を吹き返した。

 涌井はその後、不調で3勝7敗、防御率4.50とプロで最も屈辱的なシーズンを過ごしたが、あの日の投球がなければ143試合目までCS争いを繰り広げたチームの粘りもなかったかもしれない。

写真=BBM
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