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阪神・原口文仁 涙のサヨナラ打/2019年ベストゲーム

 

ガンの手術から復帰後初となる甲子園の打席でサヨナラ打。感動の復活劇となった



 今年の交流戦は6勝10敗2分けだった。2年連続負け越し。それでも劇的なサヨナラ勝ちでファンを感動させたシーンがあった。

 6月9日の日本ハム戦(甲子園)。同点の9回二死二、三塁。代打・原口文仁が告げられた。その原口が、秋吉の3球目の外角スライダーに食らいつくと、打球は中前に弾んだ。

 大腸ガンからリハビリを経て一軍復帰してから5戦目だった。「僕がこうやって生きて、同じような人の力になれば」と声を上ずらせた。

 昨季は球団タイ記録の代打シーズン23安打をマークし、今季もフルで働くつもりだっただけに、原口のガンによる離脱は衝撃的だった。

 本人が「ちょっと野球を見過ぎて、妻がかわいそうなぐらいでした」と振り返るほどつらい毎日だったが、そのカベを乗り越えた。

 この試合で原口をお立ち台に導くポイントになったプレーは、同じ捕手・梅野の思い切ったパフォーマンスだ。

 2点ビハインドの7回だった。梅野の二塁打で二、三塁。高山の遊ゴロで1点差、一死二塁から北條の打席でまさかの三盗を試みた。

 これが日本ハムの捕手・清水の悪送球を誘って、梅野が同点ホームイン。「根拠と意図、勇気を持って走った」と思惑通りだった。

 原口がサヨナラ打を決める9回は、二死から高山、北條が連打。今季初だったイニングまたぎ登板の藤川に「代打・原口」が告げられた。

 試合後には矢野監督が「自分のことでは泣いたことがないんだけど」と震えるほどで、涙、涙の勝利となった。
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