
CSファイナルステージでは1試合3ホーマーなど打撃での活躍も光り、シリーズMVPに輝いた今宮
大一番で野性を発揮した。
楽天とのCSファーストステージ第3戦(10月7日=ヤフオクドーム)。同点の6回無死一塁、
茂木栄五郎の強いゴロが前方、三遊間寄りへ。滑り込みながら体の近くに入ったショートバウンドを、逆シングルで押さえ切った。二塁封殺し、併殺こそ逃したものの大きなアウトを奪った。
「捕ることしか考えなかった。前に出て捕るか。確率を考えて。瞬間、無理と思って、ボールと一緒の高さに入って『何とかグラブに入れ』と」。今宮にだけ、スローモーションの世界が見えていた。第2戦からY.
グラシアルとの急造三遊間。より負担が増した中で飛び出したビッグプレーがステージ突破の足場になった。
2週間前、屈辱にまみれた。9月24日、敵地・仙台での楽天戦。
西武はマジック2、もはや勝利しか許されない状況で中4日の
千賀滉大が力投していた。迎えた1点リードの6回。先頭・
ブラッシュの遊ゴロを今宮がはじいた。その後、千賀が
ウィーラーに逆転2ランを浴びる。「ミスをしたほうが負ける。何でああいうところでミスをしたか分からない。千賀に申し訳ない」。酷ながらも、あの場面で絶対に許されない結果だった。
今季は開幕から本塁打を量産するなど打撃が絶好調で、前半戦MVP級の存在感。だが、左太もも裏痛が再発し、休養を挟みながら出場を続けた。それも長くは続かず、6月末から約1カ月の離脱。そんな不本意さや、胸突き八丁での痛恨プレーは、その後の原動力にもなっている。
写真=湯浅芳昭