鈴木誠也に打たれたことが、成長の糧になった
マツダ
広島の夜空に描かれた鮮やかな放物線。鈴木のすごさを感じたこの一発が、
三ツ間卓也のその後の投球を変えた。7月25日の広島戦の5回だった。イニング途中に
ロメロに代わってマウンドに上がり、1人目の打者・鈴木誠也に、3球目の内角ツーシームを痛打された。
「読まれていた」。試合後、そう反省の弁を口にした右腕。鈴木の“読み”に舌を巻いたわけだが、このことに関して試合後の宿舎であるやりとりがあった。食事会場でたまたま同じになった
村上隆行打撃コーチに、被弾したシーンのことを話すと、「俺は(鈴木が)コース張りしていると分かっていた」と言われた。
目が点になった。村上コーチは1球目の内角ツーシームを見送り、2球目の外のスライダーに反応しなかったときに感じたという。打者目線の話に聞き入り、三ツ間は「球種張りは何となく分かるんですけど、きっちりとしたコース張りは分からなかった。一流のバッターはそういうことをしてくる。しぐさや目線、そういうのを教えてもらいました」と感心した。
それからはブルペンモニターで意識して戦況を見つめた。すると、
DeNAの筒香やロペスもコース張りしていると感じることができた。
力や技で抑えるだけでなく、読みや駆け引きの大事さを知ってから、投球はより安定した。6月19日に昇格した際は敗戦処理が主戦場だったが、地位はグングン上がっていった。シーズン終了時、右腕はブルペンに欠くことのできない存在にまでなっていた。
写真=BBM