目標は明確だ。来季こそ定位奪取へ。重信慎之介は、5年ぶりのリーグ優勝を果たした今季も一軍で過ごしながら、自身への評価は「正直まだまだです。全然結果を出していると思っていないし、チームの力になれていない。レギュラーを獲れていないので、優勝したといっても悔しさはあります」と厳しい。
4年目の今季は自己最多の106試合に出場。代名詞の俊足を生かしてキャリアハイの14盗塁をマークし、打率は昨季の.281を下回る.266だったとはいえ、シーズン終盤はスタメン出場や代打での起用が増えた。
7月23日の
ヤクルト戦(京セラドーム大阪)では5対5で迎えた9回無死一、二塁で、昨季のセ・リーグ最優秀中継ぎ投手の
近藤一樹から自身初となるサヨナラ適時二塁打。バントもあり得る場面で、「(ヒッティングと)どちらも準備はできていました。原(辰徳)監督にヒッティングで行くと言われて、覚悟を決めました」と集中力を高め、勝負強さを発揮した。
9月7日のヤクルト戦(神宮)では3点リードの7回二死満塁に代打で左翼手の頭上を越える走者一掃の適時二塁打。原監督も「見事に応えてくれた」と2度の劇的打に信頼を口にした。
今季、レギュラーに君臨した
亀井善行は衰え知らずの活躍を続けるが、来季で38歳。次世代を見据えれば、重信を筆頭に若手外野手の成長が待たれている。俊足に打撃での魅力を加えた若武者が、可能性を膨らませている。
写真=BBM