独特のフォームから投げ込む真っすぐ。一度飛び跳ねるように見えるため、ただでさえタイミングが合わせづらい。そこに球威も備わってきた。育成の石田健人マルクが、密かに注目を浴びている。
今秋から就任した
仁村徹二軍監督が、その能力に大きな可能性を見い出した。「あのフォームはなかなか打てないよ」と言い、「決めたんだよ。来年はファームのセットアッパーかストッパーにするよ」と責任あるポジションで起用することを示唆した。
今季、ウエスタン・リーグで18試合に登板し、0勝1敗の防御率1.99。ルーキーイヤーの昨季はウエスタン・リーグの登板は1度もなかった。実戦の舞台に立つことすらできなかったことを考えると、大きな進歩だった。
みやざきフェ
ニックス・リーグのメンバーからは外れた。経験を積めるチャンスを逃し、肩を落とした。育成という立場から、将来に不安を抱くのも無理はない。ただ、風向きが明らかに変わった。石田も「仁村監督には短いイニングの場合、変化球が苦手なら、投げなくてもいい。真っすぐで勝負したらいい。真ん中以外なら大丈夫だから」と声を掛けられ、「頭がスッキリした」と前を向いた。
秋季キャンプではシート打撃が予定されると、自ら手を挙げてマウンドに立った。実戦形式で、真っすぐを磨き上げている。「チャンスなので、これでダメなら終わりくらいの気持ちでやります」。超の付く伏兵の存在感が、この秋、増しつつある。
写真=BBM