アクシデントに見舞われながら2年連続で全試合出場を果たした中村奨だったが……
気持ちはすでに来季に向かっていた。
中村奨吾は「体をもう一回、作り直す」と
ロッテ浦和球場でのトレーニングに精を出している。今季は3月29日の
楽天戦(ZOZOマリン)で
岸孝之から第1号を放ち、開幕10試合を終えて打率.361、5本塁打、10打点、6盗塁。「今までで一番いい状態だった」と好スタートを切ったが、“落とし穴”にはまり、リズムが崩れていく。
4月21日の練習中に
清水将海バッテリーコーチと接触し、左目下を10針縫うケガを負った。ドクターストップがかかる中、自ら監督室のドアをたたき、
井口資仁監督にスタメン出場を直訴した。最終的には指揮官の「今日は途中から行くから我慢して準備してくれ」との言葉を受け入れ、2017年から続いていた連続フルイニング出場は188試合でストップすることになったが、若きチームリーダーとしての自覚が行動に出た瞬間だった。
打撃にも悪影響が出た。昨季はリーグトップの22死球。内角球にも恐れずに踏み込む打撃で開眼したが、この一件以降は内角球に恐怖心が芽生え、打撃フォームが崩れた。パの規定打席到達者では最下位の打率.232に終わった。一方でオフの自主トレの成果が表れ、スイングの力強さはアップ。中堅から右方向への打球の飛距離も伸び、17本塁打、59打点は自己最高と手応えも得た。
下半身のコンディション不良に悩まされながら2年連続全試合出場は果たした。「出るだけじゃなく、結果を出さないといけない」。力強く、巻き返しを約束した。
写真=BBM