原辰徳監督が真っ先に名前を挙げたのは、まだプロ初安打も放っていない北村拓己だった。
1月20日の今年最初のスタッフ会議後、レギュラー不在の一塁の話題になると、指揮官は「北村君とか、昨年(イースタン・リーグで)首位打者だった山下(航汰)君とか、まあナカジ(
中島宏之)。この辺は大きなチャンスになる」と発言。高卒1年目から一軍で安打を放った左打者の山下、実績のある中島を差し置いて真っ先に北村の名を口にしたのは、期待の表れと言えるだろう。
3年目の北村は、星稜高、亜大で主将を務めた右の中距離打者。昨季はイースタン3位の打率.290、出塁率は同1位の.414。内野はどこでも守れ、バントの技術も評価されている。北村は「レギュラー格を目指してやっていきたい。守備もできないといけないけど、打たないとファースト、サードは守れない」と強い覚悟で1月の
坂本勇人らとの沖縄合同自主トレに取り組んできた。
元木大介ヘッドコーチも「北村にはチャンスがある。レギュラーを獲る気持ちでやってほしい」と期待を寄せる。一塁のレギュラー候補が振るわない場合には、原監督は「もしそれで間に合わないようなら、外国人選手も準備は一応できている」と新外国人獲得の可能性も示唆しており、正捕手に挑戦する
大城卓三の一塁復帰も考えられる。春季キャンプでの猛アピールが必要だ。強力なライバルたちを相手に、プロ無安打の男が下克上に挑戦する。
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