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ヤクルト・嶋基宏 投手陣再建への切り札/チームに新風を吹き込め!

 

求められるものは多い


 浮上を目指す燕軍団にとって、この男の加入は多くの意味でプラスだろう。昨季限りで楽天を退団した嶋基宏だ。35歳のベテラン捕手は、新鮮な気持ちで14年目のキャンプインを迎えた。

「ルーキーのときみたいな緊張感もあるし、他チームで迎える初めてのキャンプなので楽しみでもありますし、いいと思います」

 豊富な経験と実績を注入する。嶋は2007年に大学生・社会人ドラフト3巡目で楽天に入団以降、長年正捕手として活躍。13年には、当時のエース・田中将大(現ヤンキース)を中心とした投手陣をけん引し、悲願のリーグ制覇、日本一に貢献した。だが、近年は故障に悩まされて出場機会も減り、古巣を去ることを決断。20年は新天地に活路を見出した。

 嶋の移籍で色めき立ったのは、捕手陣だ。選手会長で正捕手の中村は「何をするにしても嶋さんの顔が浮かぶ」と危機感をあらわにした。ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞ともに2度受賞している日本を代表する捕手の加入で、西田や松本直、古賀らほかの捕手の間にも競争意識が高まっている。

 さらに、若手が多い投手陣にとっては知識を吸収できるチャンスでもある。嶋も「ほとんどのピッチャーは受けたことがないので、先入観もまったくない。たくさん受けて、新しい目でいろいろなことを勉強したい」と口にするように、新たな視点での助言は必ずや投手陣の立て直しの力となるはずだ。実績や能力以上の「目に見えない」働きで、燕を救う。

写真=BBM
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