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ソフトバンク・千賀滉大 こだわりを見せるスピードボール/わがチームの速球王

 

順調にリハビリを進めている千賀(写真は1月の自主トレ時


「お化けフォーク」を代名詞とする千賀滉大が、それ以上にこだわりを持つ球が球界トップクラスのスピードボールだ。2年連続となる開幕投手を任された2019年のシーズン開幕戦。右腕が球場全体をどよめかせたのは、プレーボール直後だった。西武先頭の金子侑司へ投じた初球。外角高めに外れたストレートが、いきなり161キロを計測した。自己最速を更新して“大台”も突破すると、続く2球目も内角のストライクゾーンに161キロがズドン。スタンドはどよめきが増し、異様な雰囲気に包まれた。

 数日前、159キロをマークした際に「(160キロ)出ると思います」と自信をのぞかせていたとおり、有言実行で大台を突破した。160キロ以上を計測したのは史上10人目(日本人投手4人目)で、球速は10年の由規(当時ヤクルト)に並ぶ日本人投手2位(同日時点)。驚異の落差を誇るフォークも武器に、育成から日本を代表する投手に成長した右腕が、また一つステージを上がった瞬間だった。「去年(18年)とは違う」と自身の成長を実感したように、160キロ超を計測した昨季は9月6日のロッテ戦(ヤフオクドーム)で令和初・育成ドラフト出身者初となるノーヒットノーランも達成した。チームでは実に76年ぶり、2人目となる快挙だった。

 名実ともに球団のエースとなり、今季も3年連続の開幕投手を任せられることが濃厚だったが、春季キャンプ終盤に右前腕部に違和感を訴え調整が大幅に遅れた。3月末に1カ月ぶりにキャッチボールを再開。新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が延期となった中、鷹の速球王が懸命のリハビリを続けていく。

写真=湯浅芳昭
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