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DeNA・国吉佑樹 勝ちパターンの一角を担う最速161キロ/わがチームの速球王

 

フィジカルを鍛えることで大台160キロ超えを実現した国吉。頼れるリリーバーに成長した


 唸なりを上げるスピードボールで横浜スタジアムを沸かせる日が待ち遠しい。DeNAのリリーバー国吉佑樹は昨年4月6日の巨人戦(横浜)で、日本人投手では史上5人目の大台突破となる161キロをマークした。育成選手契約での入団から10年目の節目で自己最多の53試合登板。196センチの大器が期待され続けてきた潜在能力を開花させ、今季視界に捉えるのは勝ちパターンの一角だ。

 球界屈指の速球は、紆余曲折を経て生まれたものだ。伸び悩んで迎えた2018年は、ラミレス監督のアドバイスもあり投球の7〜8割をカットボールで組み立てるスタイルを試した。それでも春先の安定感は続かず、オフは球団が提携するオーストラリアン・ベースボール・リーグでの武者修行を志願。そこでは野球のレベル自体は高くなったが、普段は公務員として働くチームメートもおり、国吉は野球観を大きく揺さぶられたという。

「みんなが純粋に勝負を楽しんでいる。そんな野球があった」。迷いが消え、原点に立ち返って臨んだ19年シーズンだった。

 さらなる飛躍を期し、今春キャンプのブルペンではフォークボールやツーシームを念入りに試す姿があった。オープン戦は最終登板となった3月14日の日本ハム戦(札幌ドーム)で3失点したものの、全体的に安定感を示し、ラミレス監督は「7回は三嶋一輝パットン、国吉をローテーションしながら任せたい」と信頼感を口にしている。

 今季は自身の希望で背番号を65から「92」へと変更した。愛称のクニと合わせたものだが、実は豪州リーグで着けた思い出のナンバーでもある。心技体で熟された剛腕に今年も注目だ。
写真=榎本郁也
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