いよいよ本領発揮なるか
たった一振りで、
浅村栄斗が試合の流れを変えた。3月7日、
中日とのオープン戦(静岡)だった。先発した松井が初回、打球を右手首付近に受けて緊急降板。さらにチームは先制点を献上した。
0対1で迎えた初回裏の攻撃。二死一塁の場面で四番・浅村が魅せた。カウント1-2で迎えた6球目。大野雄の内角スライダーを逆らわずにはじき返した。フェンスを直撃する技ありの適時二塁打で同点に追いつくと、チームは一気に3点を奪取し7対1で逆転勝ち。嫌なムードを主砲が払拭した。
若手を積極的に試したいという首脳陣の思惑もあって、オープン戦の出場は7試合のみ。ただ出場した全試合で四番に座った。昨季は四番が多かった
ブラッシュが二番や六番でも起用されたのとは対照的だ。三木監督が、今季は和製大砲を四番に据えようという意図が透けて見えた。
昨季は自己最多の33本塁打をマーク。だがFA移籍1年目の重圧もあってか、打率.263に終わった。全143試合に出場し、二塁手としては初めてゴールデン・グラブ賞も受賞したが、心からは喜べなかったという。「2割6分じゃダメ。とにかく3割ですね。3割を打てば、ホームランも打点も伸びる。シーズンをしっかり戦い優勝することが一番大事」と意気込む。
1月の合同自主トレ以降、キャンプ中もオコエや内田ら若手に積極的に助言をしてきた。オコエも内田も「なぜ、浅村さんほどの人が、僕らにあそこまでしてくれるのか。本当にありがたいです」と声を合わせる。今や野手陣の精神的支柱でもある浅村こそ、主砲にふさわしい。
写真=BBM