未曽有の危機的状況に、プロ19年目のベテランはどう対応していくのか。1月に40歳を迎えた石川雅規は現在、自主練習の中でブルペン投球などをしながら開幕に向けて調整を続けている。
本来ならば3月20日に神宮球場のマウンドに立ち、
阪神打線を相手に投げているはずだった。だが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕の延期が続き、無観客での開幕が決定的となっている。先行きが見えない状況が続く中、4月上旬には球団を通じて心境を明かした。
「健康でないと野球ができないということを痛感させられています。僕たちは決められた日程に合わせて準備をしています。そして、僕たちが全力でプレーし、たくさんの方々が楽しむ日が早く来るようにと思っています」
昨季まで積み上げてきた勝利数は現役最多の171で、通算200勝まで残り29。167センチと小柄ながら“小さな大投手”と呼ばれ、長年投手陣を引っ張ってきた。今オフは「ライアン」こと
小川泰弘が“弟子入り”。期待の5年目左腕・
高橋奎二も自主トレーニングへの参加を希望するなど、野球に取り組む姿勢や豊富な知識は、誰もが認めるところだ。
誰も経験したことがない難局にも「臨機応変に対応していくしかない」と懸命に前を向く石川。3月上旬に3年ぶり9度目の開幕投手に指名されたが、
高津臣吾監督は報道陣にオンラインで取材を受けた際「変更することも開幕投手を誰にするということも、対戦相手がどこだとか決まってこない限り考えはまとまらない」と説明。再考される可能性もあるが、不惑の左腕が投手陣の中心になることは間違いない。開幕の日を待ち、汗を流すだけだ。
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