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ソフトバンク・田中正義 悲壮な覚悟で挑む4年目/このままでは終われない

 

田中は“出遅れ”を取り戻すことができるか


 5球団が競合したドラフト会議から3年半――。田中正義にとって、今季は文字どおり背水のシーズンとなる。鳴り物入りで入団した右腕だが、一軍では未勝利。ルーキーイヤーは右肩の負傷もあり登板がなく、2年目こそ10試合に登板したが一軍に定着することができなかった。昨季も一軍登板は1試合のみ。オフには「丸3年、まったく結果が出ていない。ドラフト1位じゃなければ、もしかしたら(戦力外だった)というのは正直感じている」と自らの置かれている立場をしっかりと受け止めた上で、今季へ向かう悲壮な覚悟を口にした。

 力強い直球が最大の武器だが「自分の一番の課題は精神面」と、マウンドでそれを十分に発揮できないことが足かせとなっていることは自ら痛いほど理解している。苦しい現状を打破するため、昨オフにはプエルトリコでのウインター・リーグに参加。3度の先発を含む6試合に登板し2勝1敗、防御率1.80と好成績を残したと同時に、心も変わった。「向こうの選手を見て、いい意味で自分のやりたいようにガツガツやらないともったいないなと。周りの目を気にしないことも大事」。これまでは繊細さが邪魔をしていたことを自覚し、今季こそ殻を破るつもりだ。

 1月の自主トレでは「これだけやってもダメならしょうがないと思えるくらい追い込んだ」と、体幹強化などハードトレーニングで自らをいじめ抜いた。食事量も増やし、人生で最重量という体重93キロでキャンプイン。春季キャンプ序盤に右ヒジの張りで離脱し出遅れはしたが、かつてのドラ1右腕はこのままで終わらない。

写真=湯浅芳昭
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