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DeNA・倉本寿彦 新打撃フォームに確かな手応え/このままでは終われない

 

オープン戦では少ないチャンスで結果を残した


 揺らがない。動じない。倉本寿彦は腹を決め、いつか来る開幕へ準備を進めている。「1つずつ、しっかりと積み重ねていく。チャンスをもらった時に、100%のものを出せるようにしないといけない」と力を込めたのは3月上旬のこと。一軍初合流を果たし、オープン戦で奮闘していた頃だった。与えられたのは4試合で9打席。それでも打率.333と結果を残してみせた。昨年秋のフェニックスリーグからバットを寝かせた新フォームを試行。ラミレス監督も「今の状態ならシーズンで3割は間違いない」と手応えを感じていた。

 あこがれだった石井琢朗の背番号「5」を受け継ぎ、長く固定できなかった遊撃を埋めたのが6年前だった。プロ1年目の2015年は102試合に出場。翌年に141試合で打率.294と打撃開眼した。17年はレギュラーシーズンからCS、日本シリーズと全156試合でフルイニング出場。八番に投手を置くラミレス采配により「恐怖の九番打者」としても存在感を発揮した。まさかの暗転は、阪神から大和のFA加入が決まった同年オフ。二塁へのコンバートも重なり、出場機会を減らしていった。

「結果が出なかったのは自分の責任。とにかくやるしかない」。ここ2年は85、24試合。一切の言い訳をすることなく、野球と向き合ってきた。2月のキャンプはプロ入り初の二軍スタート。「チャンスはいつか来るから」と横浜高の先輩・石川雄洋の言葉は支えとなり、自力ではい上がってきた。

「しっかり勝負したい。何とかいい姿を見せられるように」。現在は横浜スタジアムで自主練習を続け、攻守両面で輝きを取り戻そうと懸命だ。総合力を武器に、激戦区の二遊間へ再挑戦。再浮上への確かな歩みを始めている。
写真=高原由佳
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