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中日・ビシエド 頼れる四番の劇的サヨナラ弾/序盤戦ベストゲーム

 


 野手を使い切って投手の代打に投手を送ったり、ナゴヤドームでは1997年の開場以来最多となる19失点を喫したり。歴史的な敗戦が目立つ中、この日ばかりは胸のすく思いで帰路に就いたファンも多かったに違いない。

 初めて観客が入った7月10日の広島戦(ナゴヤドーム)。試合を決めたのは主砲、ダヤン・ビシエドの一振りだった。

 1点を追う9回に大島の中犠飛で追いつき、迎えた延長10回一死、広島のフランスアの直球を振り抜いた。バットに当たった瞬間、与田監督も「よし、勝てた」と確信した打球は弾丸ライナーで左中間席へ。

 約5000人のファンが総立ちになる中、ゆっくりとダイヤモンドを一周し、ナインから歓喜のウオーターシャワーを浴びた殊勲者はお立ち台で声を弾ませた。

「とっても集中していた。最高の気分です。本当に本当にうれしい。ファンの声援がなかったらホームランはなかった。この勝利はファンの方にプレゼントしたい。アリガトウゴザイマス」

 来日5年目。開幕から毎日のようにスタメンが変わる中、全試合で四番を務める。アルモンテや主将の高橋が故障で戦列を離れ、得点力不足が深刻なチームにあって文字通り孤軍奮闘。チーム本塁打の半数以上を一人で稼ぎ出す。

 この広島戦は開幕投手を務めた大野雄が7イニングを2失点と力投し、救援陣も無失点でつないだ。8年間で4度のリーグ優勝と一度の日本一を果たした落合政権時代、投手陣が踏ん張り、ロースコアの接戦を制するのが中日の形だった。あのころのような試合を今でもできることを示した一戦。その中心には不動の四番がいた。

写真=BBM
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