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ソフトバンク・松田宣浩 サヨナラ弾より印象的な一発/序盤戦ベストゲーム

 

ファンが戻ってきた本拠地で「熱男ー!」を響かせた松田宣


 待望の一発だった。松田宣浩の今季1号は「有観客」となった初日に生まれた。7月10日、本拠地・PayPayドームでの楽天戦。2回二死走者なし、楽天・則本昂大の149キロをとらえた打球は、右翼ホームランテラスに飛び込んだ。「打ったのは直球。しっかりとらえられたし、1本出てくれて良かった。今日からお客さんが入ってくれているのもある。もっと打ちたい」。19試合、72打席目。ベンチ前でナインとエアタッチの後、1839人の前で「熱男ー!」パフォーマンスを決めた。

 開幕から先発起用されながら、試合前まで打率.162。守備でも精彩を欠き、2連敗で借金3に沈むチーム状況を象徴していた。エンターテイナーが衆目で元気を取り戻し、チームは息を吹き返していく。

 1対1で迎えた延長10回に柳田悠岐が決めた。楽天・シャギワの速球をバックスクリーン左へ。いわゆる「確信歩き」のガッツポーズに観衆も思わず総立ちになった。お立ち台で「松田(宣)さんが一番喜んでました。『やっぱり俺はプロ野球選手だ』って。お客さんあってのプロ野球。松田さんは真のプロ野球選手だなと思います」と笑いを交えて先輩を持ち上げた。

 1993年のドーム開業から通算1000勝にも到達。松田宣の復調を信じて今季強く待っていた工藤公康監督も「松田君に、柳田君に、1000勝。あるんですね、こういうことが」と不思議な巡り合わせに感慨深い様子だった。「ファンの拍手もあって身震いした。感動する試合でした。これで乗っていかないと。柳田君も良く打ってくれたし、松田君は、やはりお祭り男だなと」。松田宣は翌日も2戦連発。チームは有観客解禁から5連勝と、まさに序盤の分水嶺となったポイントだった。

写真=湯浅芳昭
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