
出番時間は短くとも、嘉弥真の存在感は大きい
好調のチームをブルペンで支えている。7月29日の
西武戦(PayPayドーム)。2点差に追い上げられた直後の7回無死一塁。2番手として
嘉弥真新也がマウンドに上がった。一死一、三塁とピンチを広げたが、
源田壮亮、
鈴木将平と左打者をきっちりと封じる。L.
モイネロ、
森唯斗と磐石の勝ちパターンにバトンを手渡し、6ホールド目を挙げた。
工藤公康監督は「リリーフ投手がいいコンディションを整えてくれている」と信頼を置く。
侍ジャパンも経験した左腕は、今や「左キラー」の枠を超えて、セットアッパーとしての地位を確立した。開幕から5試合連続で一人の走者も許さない完璧な投球を披露。6月30日の
日本ハム戦(札幌ドーム)では延長10回を3人で片付けた。「いつもどおり投げることができたかな。その中でも先頭打者を出さないことを意識していた。ゼロに抑えられて良かった」とうなずいた。
転機は2016年の秋季キャンプだった。同シーズンは5試合の登板に終わり、サイドスローへの転向を決意。それから3年連続で50試合以上登板かつ防御率2点台を記録し、昨オフには1億円プレーヤーの仲間入りを果たした。「僕がまさかこうなるとは思っていなかった。何でもっと早くサイドにしなかったんだろうと思います」といたずらっぽく笑う。身長172センチと小柄ながら存在感は大きくなる一方だ。
6連戦が続く戦いでリリーフ陣への負担は大きくなる。奪三振率も高く、緊迫した場面での登板にも適役。「右打者もしっかりと抑えて1イニングを任せてもらえるように」と意識も高い。V奪還に向け、左のサイドスローは欠かせない存在となっている。
写真=高原由佳