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ソフトバンク・千賀滉大 皆が“らしい姿”を待っている/エースたちの現状

 

4勝を挙げている千賀だが、投球内容は完全に物足りない


 本来なら起こり得ない、しかし今は起こり得ることなのだろう。8月11日、オリックス山本由伸と初めての投げ合い(PayPayドーム)。意外にも序盤から5点のリードに背中を押された千賀滉大に、エアポケットのようなイニングが待っていた。5回、二塁・川瀬晃の2失策で無死満塁。2点を返され、なお一死満塁で、T−岡田に被弾。この回一挙6失点(自責点はゼロ)と、瞬く間に逆転を許してしまった。柳田悠岐の逆転3ランで4勝目を手にするも、「5回のピンチで粘ることができず悔しい。野手のみんなが初回から援護してくれたのに申し訳ない」。コメントは、まるで敗戦投手だった。

 右前腕部の張りの影響で、開幕延期となった日程の中でも出遅れた。チーム事情ともに起爆剤的な期待もあり、6連戦滑り出しの火曜日を登板日として復帰。だが、すっきりしない登板が続く。ストレートは160キロでも打ち返され、宝刀・フォークは制御を失った。球数がかさみ、なかなか7回にたどり着けない。援護と救援陣にも助けられて連なった勝ち星に、「自分の投球でチームを勝たせられるように」。その意味で、後輩の2失策はフォローしたかった。川瀬に対しての「お前は悪くない、千賀が悪い」との柳田の声掛けは、千賀の置かれた状況を端的に言い表している。皆が“らしい姿”を待っているのだ。

 収穫もあった。それまでと違って力みの抜けたフォームから最速159キロ。フォークの精度も増して9三振を奪った。6回114球を投げた上で、7回に備えてベンチ前でキャッチボールもしていた。1日も早く、エースには本来の姿を取り戻してほしいところだ。

写真=湯浅芳昭
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