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ソフトバンク・津森宥紀 新人離れしたメンタル/ルーキー中間報告

 

二軍調整中の津森。強気の投球を再び一軍で見たい


 何事も「一番」がいい。肝っ玉ルーキーが、持ち味を存分に発揮している。6月24日の西武戦(メットライフ)。ドラフト3位入団の津森宥紀が、新人12球団一番乗りの白星を挙げた。2点ビハインドの5回に登板し、最初の対戦は2年連続本塁打王の山川穂高。並の新人なら縮こまりそうな場面でも強心臓右腕は気後れしない。「(内角に)いくんやったらとことん攻める」。初球の内角高めの144キロでのけぞらせると、2球目は死球。それでも動じることなく続く外崎修汰中村剛也にも内角攻めを貫き、ともに中飛。二死からは栗山巧への初球に148キロの内角球を投げ込み、最後は外角直球で空振り三振を奪った。直後に今宮健太が逆転3ランを放ち、うれしい初勝利を手にした。

「一番星」だけでなく、珍しい「1人目」にもなった。それは6月21日のロッテ戦(PayPayドーム)。2回無死満塁、先発・二保旭の危険球退場直後という極めて厳しい状況でプロ初登板を迎えた。そして井上晴哉にグランドスラムを被弾。プロ初登板の第1打者に満塁弾を浴びるのは、プロ野球史上初めてだった。チームは敗戦。それでも試合後には「自分が1人目ってことですね。いいっすね」と笑顔で前向きにとらえた。この言葉が決して強がりでないことを3日後のマウンドで示した。

 3月のオープン戦では6試合に登板し、計6イニングを無失点に抑えた。開幕延期となっても気持ちを切らさず、6月の練習試合でも好アピールし開幕一軍入り。工藤公康監督も「打者に向かって勝負できる」と新人離れしたメンタルを高評価する。開幕から13試合に登板し、8月16日にはチーム事情により初めて出場登録を抹消されたが、その強心臓を武器にまだまだ打者に強気に向かっていく。

写真=湯浅芳昭
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