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ソフトバンク・甲斐拓也 大先輩の「19」を背に/チームを支える扇の要

 

背番号19に恥じない活躍を誓う甲斐


 勝利を確信する一発を放った。8月9日の楽天戦(楽天生命パーク)。2点リードの9回、右中間スタンドへの4号3ランをマークした。「投手が頑張って投げてくれていたので何とかしたい気持ちだった」。甲斐拓也は、真夏の上位対決で奮闘する投手陣を一番に思いやった。

 育成からはい上がり、「甲斐キャノン」で一躍全国区にのし上がった。侍ジャパンにも名を連ね、今季から故・野村克也氏の背番号「19」を引き継いだ。だが、ユニフォーム姿を直接見せることなく、大先輩は今年2月に急逝。「これから頑張っていかないといけない」と恩返しを誓ったが、シーズンに入るといきなり試練が待っていた。

 史上初の同一カード6連戦で捕手の負担は大きくなった。同じ相手と1週間も戦うため、リード面も苦悩。開幕13試合目に早くもスタメンを外れた。工藤公康監督は「打たれたからダメではなく、きちんと向き合っていけるようにやっていこうと話はした」と説明した。ベテランの高谷裕亮だけでなく高卒4年目の九鬼隆平にスタメンマスクを譲る試合もあった。正捕手としてのプライドが傷ついた。

 信頼を取り返すには、チームを勝利に導くのが近道だ。8月25日のオリックス戦(PayPayドーム)では、苦しんできたエース・千賀滉大を巧みに導き、完封リレーでゲームセットの瞬間を迎えた。

 ホークスの背番号「19」は野村氏の後、投手が背負う番号に。19を受け継いだ甲斐は「最近は投手の背番号みたいになっていた。そこを僕は変えたい」と大きな誓いを立てた。シーズンも半ばに差し掛かり、チームも上昇気流に乗る。リーグ優勝奪還に向けて、扇の要は19番だ。

写真=湯浅芳昭
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