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西武・森友哉 チーム浮上に必要な昨季MVPの攻守での復調/チームを支える扇の要

 

チームを浮上させようと日々、懸命にプレーする森


 昨季のパ・リーグMVPが今季は開幕から非常に苦しんでいる。正捕手の立場を築きつつあった2018年から、自らの思考の割合を「7割が守備で、3割が打撃」だと話し、捕手視点での発言が主になった森友哉。特に昨季は史上4人目となる捕手での首位打者を獲得したほどシーズン通して打撃が好調だったため、「打撃で悩んだことはほぼなかった」。それだけに、投手陣が安定感を欠き、防御率がかさんでも、多くの時間を配球、リードなど守備面の改善に割き、立て直しに集中することができた。

 だが、今季は序盤から「全然自分が思っているスイングができない。『とらえた』と思った打球が詰まったりしている」など得意の打撃がなかなか本調子にならない。加えて投手陣も脆弱さを露呈し、9月8日現在、チームは5位に低迷。経験値を重ね、「守備と打撃は別物」と自身の中で完全な割り切りのスイッチが作れたはずだったが人一倍責任感が強いだけに、さすがにチーム、個人ともに現状を引きずらないわけがない。

 8月27日の日本ハム戦(メットライフ)、ベンチスタートで逆転してからマスクを託されるも、再びひっくり返される屈辱。その後、山川の一打でサヨナラ勝利を飾ったが、歓喜の輪の中でただ一人、とめどなくあふれ出る涙を止めることができなかった。その姿にこそ、今抱え込んでいる苦悩のすべてが凝縮されている。

 だが、『苦難は成長の好機』。森はこのままで立ち止まる男ではない。時に「人たらし」と言われる愛嬌あふれる性格と、野球への真摯な姿勢と圧倒的な実力で、求心力は抜群。背番号「10」に心からの笑顔が戻ったとき、間違いなくチームも浮上の一途をたどるだろう。それほどの、絶対的存在なのだ。

写真=BBM
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