チームの元気印が戻ってきた。伏見寅威がマスクをかぶり、指先から送る考え抜いたサインで、投手陣をリード。さらに、大きな声を張り上げてナインを鼓舞している。
「やっぱり、勝ちたい。何としても勝ちたい気持ちで試合に臨んでいます。投手陣は『やってやるぞ』という気持ちがあふれ出ているので、そこをコントロールすることを意識しています」
研究を重ねたリードで、投手陣を落ち着かせる。開幕時は主に
山崎福也とバッテリーを組むことが多かったが、8月20日に
西村徳文前監督が電撃辞任してからは、
アルバース、
田嶋大樹、
山本由伸らの女房役を任されることもあった。8月25日には自力優勝の可能性が消滅。それでも下を向かず、真っすぐに前だけを見る。
「まだ最下位にいて、チームに余裕はまったくありません。一つ勝ったからと言って、安心できることはない。毎日が大事になってくる。やっぱり、チームが勝つことが一番。そのピッチャーをしっかりと理解して、試合を組み立てるのが自分の仕事」
投手の特徴、長所を生かした配球をする。山崎福なら緩急を使うカーブだ。
「(カーブは)福也の一番自信のあるボールと言っていい。今年に入って、その精度がいいなと感じたのは確かです。僕の意図をくみ取って、低めに投げたり、コースへの意識がすごく見えている」
グラウンドだけでなく、ベンチでも積極的にコミュニケーションを取り、投手陣からの信頼も厚い。
打撃でも存在感を示している。三番や五番を任される試合もあるなど、打率.280、1本塁打、9打点(9月7日時点)の成績。「落ち着いて打席に入れている。柔らかく。それだけを意識して、来た球を打つだけ」。シンプルな発想で突き進む。
写真=BBM