朴とつな印象だが、マスクの奥に見える目つきは捕手らしい鋭さを感じさせる。大城卓三は、
阿部慎之助二軍監督の現役時代のような「打てる捕手」と期待される男だ。
大卒、社会人経由の3年目。打力を生かすため、これまでは一塁での出場も多く、昨季の捕手は経験豊富な
炭谷銀仁朗、強肩の
小林誠司との併用だった。背番号「24」を与えられた今季は、
原辰徳監督が「飛び抜けて成長できる可能性は、今年は大城が持っているのではないか」と1番手に抜擢した。
小林が開幕3戦目の6月21日の
阪神戦(東京ドーム)で左尺骨骨折で離脱したことで、実質、炭谷と2人でスタメンマスクを分け合う形となり、チームが62試合を消化した9月3日時点では、大城が最多の33試合(炭谷は24試合)で先発のマスクをかぶっている。
持ち味の打撃はまずまず好調だ。7月24日の
ヤクルト戦(神宮)では「五番・捕手」で起用され、2戦連続の4号2ランを含む4安打の大暴れ。「次につなぐ意識で打席に入りました」と謙虚な大城に、指揮官は「五番(
丸佳浩が1位で17試合。大城は15試合)で捕手は重責ではあるけれど、本当の意味でプロとしてのスタートを今年、切っている」と成長に目を見張った。
菅野智之が開幕9連勝を飾った8月25日のヤクルト戦(神宮)では盗塁阻止などでエースをおぜん立て。さらに同点の7回一死満塁で「菅野さんが頑張っていたのでなんとか逆転したかった」と
長谷川宙輝から決勝の中前適時打。チームでの存在感は大きくなるばかりだ。
守備面でも成長を見せる27歳。経験が物を言う捕手というポジションで、大きく成長することが、そして正捕手として独り立ちすることが期待されるが、果たして。
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