名古屋市営地下鉄名城線のナゴヤドーム前矢田駅からナゴヤドームへ向かう地下通路は「ドラゴンズロード」と呼ばれる。両側に各選手の紹介パネルやテーマに沿った展示写真が並ぶ場所に、今年は主力選手のスローガンが登場した。大島、平田、高橋らが目標を手にポーズを取る。「一番投げて、一番抑える」。そう掲げるのは大野雄大だ。
昨季はリーグ最多の177回3分の2を投げ、防御率2.58で最優秀防御率のタイトルを獲得。文字どおり「一番投げて、一番抑える」投手となった。2年連続でのタイトルを狙う。その意思表示だった。
当初はつまずいた。3度目の開幕投手を務めた6月19日の
ヤクルト戦(神宮)は4回6失点。防御率13.50からのスタートとなった。開幕から6試合勝ち星もなし。タイトル争いからは程遠い位置にいた。好転したのは7月31日の同戦(ナゴヤドーム)。3失点完投で今季初勝利を挙げ、防御率も3点台に突入した。
「相手次第ですが、防御率争いますよ」。目標は見失っていなかった。快進撃が始まった。ここから球団記録に並ぶ5試合連続完投勝利。8月23日の
DeNA戦(同)、9月1日の
広島戦(同)で2試合連続完封し、一気に防御率も2.34まで改善させた。
副産物もある。9月10日現在、12試合で89奪三振。リーグ2位の
巨人・菅野に6差をつけて堂々のトップを走る。「狙って三振を取れる投手じゃないし、それよりも1球でアウトにできるほうがうれしい」と無関心を装いながらも「真っすぐがいいから三振が多いのは間違いない」とも。2冠の可能性は十分にある。
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