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日本ハム・上沢直之投手 たくましさを増したエースの輝き/復活を遂げた男たち

 

安定感あるピッチングで存在感を発揮している上沢


 より一層の力強さを増した上沢直之が輝きを放っている。10月6日時点で13試合に登板。すべて先発でチームトップの8勝、防御率2.30をマーク。とても1年前は必死のリハビリに明け暮れていたとは思えない。昨シーズンの交流戦で負った大ケガは球界でも前例がほぼなく、復活への道のりは自分で開拓するしかなかった。

 左膝膝蓋骨骨折。分かりやすく表現すれば、左ヒザの皿が完全に真っ二つに割れた。6月18日のDeNA戦で起きたアクシデント。打球が患部を直撃し、その場に倒れ込んだ。翌日に手術を受け、当初は全治までに5カ月とされたが、手術から約4カ月を過ぎても屈伸もままならず、さらに5カ月を経過してもキャッチボールで踏み込む左足には表現しがたい違和感が残った。

 それでも一つずつできることを消化。今春のキャンプではブルペン投球を再開。投球フォームを支える左ヒザの大ケガによって、ゼロから投球のメカニズムも再構築する作業をコロナ禍の自主練習期間も通して継続し、6月の練習試合で復帰。二軍戦での調整を経て、6月30日のソフトバンク戦(札幌ドーム)で今シーズン初登板のマウンドに立った。3度目の先発となった7月28日のオリックス戦(札幌ドーム)で413日ぶりの勝利を挙げると、以降は先発ローテに完全復帰。9月1日の楽天戦(札幌ドーム)では完投勝利もマークした。

「ケガをする前より、まだ体力が足りないなと。それに7対1で完投して喜んでも……ね」。試合後のコメントが何よりも頼もしい。華麗な復活劇は、先が見えない暗闇の中でもが、光を見つけて備わった人としての力強さが根底にある。

写真=BBM
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