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新天地で輝きを取り戻したロッテ・澤村拓一/復活を遂げた男たち

 

9月にトレード加入した澤村拓一が、8回の男として躍動している


 環境が変わっただけで、人はこんなにも変わることができるのか──。

 ロッテ巨人から移籍した澤村拓一は、新天地で飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍を見せている。9月中に救援で9試合に登板して、許した安打は3本のみの1失点。奪三振率も圧巻の13.50で、15年ぶりのリーグ優勝を目指すチームの“8回の男”として君臨している。

 9月8日の日本ハム戦(ZOZOマリン)、移籍初日の投球でロッテファンをとりこにした。福嶋明弘打撃投手の『106』のユニホームを借り、3対2の6回に渡邉諒大田泰示ビヤヌエバを3者連続三振に仕留める。ヒーローインタビューで「初めまして、澤村です。名前を呼ばれたときの声援は、もう絶対に忘れない。これからはマリーンズのために腕を振っていく」と決意を示した。

 巨人では今季13試合に登板して防御率6.08と振るわず、8月には三軍で調整していた。だが、ロッテ加入後は、もがき苦しんだ姿がウソのように、150キロ台中盤の直球と、ときに150キロを超えるスプリットのコンビネーションで、パ・リーグの強打者たちを牛耳っている。

「求められるというのはうれしいこと。力になりたい。やるだけだ」との純粋な思いが、32歳のベテランをよみがえらせた。

 優勝争いを経験したことがない選手が大半のチームにあって、巨人の守護神も務めた男の経験値は、勝負どころの終盤戦で必ず生きてくる。井口資仁監督は「優勝するための力になってほしい。年下の選手も多いし、背中で引っ張ってもらえれば」と期待する。
 
 背番号『57』は「経験してきたことをマウンドできちんと表現したい。自分を支えてくださる方々のために、1秒たりともムダにできない」と眼光鋭く宣言した。

写真=BBM
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