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DeNA・倉本寿彦 指揮官のアドバイスで打撃好調/復活を遂げた男たち

 

10月も月間打率.357とバットが振れている。下位でチャンスメークして上位につなげる重要な役割を果たしている


 レギュラーの座は奪い返したと言っていいだろう。シーズンも勝負の終盤戦を迎え、DeNAの遊撃手は当たり前のように倉本寿彦が守り続けている。開幕後20試合で1度しかスタメン出場の機会がなかった29歳が、シーズン折り返しの60試合を過ぎてからは10試合しか先発を外れていない(96試合終了時点)。梶谷隆幸戸柱恭孝に続き、この男も不遇を乗り越え復活のシーズンを送っている1人だ。

 プロ入り後すぐに遊撃のレギュラーに座り、日本シリーズ進出で脚光を浴びた2017年シーズンにはフルイニング出場を果たした。だが、同年オフにチームは阪神からフリーエージェント(FA)宣言した大和を獲得。球界屈指の守備職人の加入を受けて倉本は二塁にコンバートされ、やがてそこは本塁打王・ソトらとの争いとなり出番を大きく減らしてきた。「遊撃一本で」と首脳陣に直訴した昨季も打撃不振に陥り、出場わずか24試合。多くの時間を二軍で過ごした。

 今季はその打撃が好調で徐々に居場所をつかんだ。8月9日のヤクルト戦(神宮)は山中浩史から自身初の満塁本塁打。9月3〜8日には5試合連続のマルチ安打を記録した。「監督にアドバイスをもらって。それがいい方向にいっていると思う」。今年は試合前練習で、ラミレス監督と話し込む場面が多い。近年、打撃の形に試行錯誤を重ねてきた倉本に対し、指揮官は「2年目のフォームに戻したらどうだ」と伝えたという。自己最高の打率.294をマークした年だ。

「毎日、試合に出られる喜びを感じてプレーしている。感謝を忘れず、謙虚に頑張りたい」と倉本。球歴を再び輝かせているのは形より、この心境の変化かもしれない。

写真=高塩隆
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