10月2日の
オリックス戦(京セラドーム)。1対0で迎えた8回二死二、三塁。
辰己涼介が富山の145キロ直球を力強くはじき返した。高々と舞い上がった打球は、バックスクリーンで弾んだ。7回から代走で途中出場した俊足の外野手が、7号3ランで勝負の行方を決めた。
前日の雪辱を果たした。1日の
ソフトバンク戦(
楽天生命パーク)では、7回から代走で途中出場。しかし嘉弥真のけん制に飛び出し、二塁でタッチアウトになった。「最近、打撃も走塁も守備も足を引っ張ってばかりだったので、久しぶりにチームに貢献したいなと思った」。9月9日のソフトバンク戦(楽天生命パーク)以来、約3週間ぶりの安打に胸をなで下ろした。
昨年は新人ながら124試合に出場。打率.229と打撃では苦しんだが、守備では随所に存在感を発揮。好守で何度もチームを救った。スピードもチーム随一。「バッテリー中心の守りの野球」を掲げる三木楽天では、さらに出番を増やすかと思われた。
しかし、だ。思いどおりにはいかなかった。10月18日の時点で、チームは103試合を消化。しかし、辰己が先発で起用されたのは62試合にとどまっている。高い潜在能力を考えれば、本来ならスタメンで出場していてもおかしくない選手。だが、今季は代走や守備固めでの出場が増えており、期待に応えられずにいる。
三木肇監督は「勉強、成長の繰り返し。試合でいろんなことを学んでほしい」と、さらなる成長を求めた。辰己は「自分の力でスタメンに返り咲けるように、またチームに貢献できるように頑張りたい」と闘志を燃やした。ただのスペシャリストではない。攻守走、すべてがそろったスペシャルな選手へと成長を見せたいところだ。
写真=BBM