7月14日、楽天で出場機会に恵まれなかった高梨雄平に大きなチャンスが転がってきた。
高田萌生とのトレードで巨人に入団。4年目左腕の快進撃の幕開けだった。
移籍後初登板となった7月22日の
中日戦(ナゴヤドーム)では「僕にとってトレードで来て1発目。分水嶺というか、ここが大事だというのはトレードの時点で分かっていた」とイニングをまたいで打者4人を相手にし、無安打、3奪三振のデビュー。これで勢いに乗り、次第に重要な場面で出番が巡ってくるようになった。
8月26 日の
ヤクルト戦(神宮)では4対5の5回無死二塁で後続を抑え、打線が3点を奪って逆転した6回もイニングまたぎでマウンドに上がり、無失点。楽天時代の2019年5月8日の
ソフトバンク戦(楽天生命パーク)以来、実に477日ぶりの通算5勝目を手にした。「中継ぎの勝ちは皆さんのおかげです。まさかジャイアンツで勝ち投手になる日が来るとは思いませんでした」と素直に喜びを表している。
変則フォームが特徴の左腕は、楽天時代の18年に球団史上最多の70試合登板を果たした。昨年は急性虫垂炎で戦列を離れ、今季は開幕から出番がなく、二軍暮らしが続いていたが、巨人移籍が最高の転機となり、再び輝きを放っている。
10月15日時点で今季は35試合に登板し、防御率0.57。被打率は対左が.098、対右も.087と抜群の安定感を誇る。8回=
中川皓太(10月9日に左脇腹痛で登録抹消)、9回=R.デラロサの勝ちパターンは固定されてきたが、彼らにつなぐ7回だけでなく、試合中盤の大ピンチでも登場する。ニューカマーが強力な中継ぎ陣を支えている。
写真=BBM