8回にモイネロがいる。その意味はチームにとってすごく大きい
リーグ優勝を決めた大一番でも淡々と仕事をこなした。優勝マジック「2」で迎えた10月27日の
ロッテ戦(PayPayドーム)。いつもの8回にセットアッパーのL.モイネロの姿があった。先頭の
福田秀平を一ゴロに打ち取ると、
藤原恭大、
荻野貴司から2者連続見逃し三振。驚異の奪三振率を誇る助っ人左腕が守護神・
森唯斗にVへのバトンを渡した。前回登板の24日の
西武戦(同)では3四球と珍しく大荒れ。後を受けた
岩嵜翔が
中村剛也に逆転満塁弾を浴び、負け投手となったが、心配ご無用とばかりにきっちりと3人で片付けた。「今年はチームの力になれているのかなと思う」。そう謙遜するが、MVPの有力候補に名前が挙がる。
開幕から“8回の男”として確固たる地位を築いた。初登板から13試合連続無失点。150キロを超える直球を武器に、大きく割れるカーブ、ブレーキのきいたチェンジアップで打者がバットに当てることさえ困難にさせた。8月6日の
楽天戦(楽天生命パーク)から10月2日の
日本ハム戦(PayPayドーム)にかけて圧巻の21試合連続無失点。
工藤公康監督に「彼を信頼して8回に使っている。彼が打たれるのは仕方ない。本当に頼りになるし、いてくれてよかった」とまで言わせた。モイネロ―森の必勝リレーが1年を通して崩れなかったことが、3年ぶりのVへと導いたことは間違いない。
キューバから来日して4年目。24歳はいまだ成長途上で今季は自己最速の158キロもマークした。ホールドポイントもリーグトップを独走し、最優秀中継ぎの初タイトルも確実な情勢だ。「今の数字には満足しているし、チームの力になれていると思う」とうなずいた。繰り返した言葉は「チームの力」。リーグ優勝にナインと喜びを分かち合った。
写真=湯浅芳昭