強力打線を支えた
球場中から漏れたため息が、大きな大きな拍手に変わった。10月25日の
日本ハム戦(
楽天生命パーク)、初回二死二塁の場面だった。中田の放った打球が、左翼を守る
ロメロの後方を襲った。左翼フェンス際まで飛んだ白球に、助っ人が飛びつく。フェンスに背中をぶつけながらジャンピングキャッチ。スーパープレーでピンチを救った。
10月27日の時点で96試合に出場も、左翼で先発したのは8試合に過ぎない。不慣れなはずの左翼での美技に「風がライトから吹いていたので、チャンスはあると思っていた。うまくタイミングを合わせて飛ぶことができた」と胸を張った。
守備で流れを作ると、2回先頭では左前打で出塁し、3点の先制につなげた。3回無死一、三塁の場面ででは右中間へ2点三塁打。5回は左翼線へ二塁打を放ち、7回の第4打席は左前打。惜しくもサイクル安打は逃したが、13対4の大勝に貢献した。「有原投手はすごくいい投手。アグレッシブにいこうと思っていたし、実際にそうできて良かった」と充実感をにじませた。
今季は103試合に出場して打率.272、24本塁打。特に開幕直後は絶好調で、4月は10試合に出場し月間打率.444。首位を快走したチームをけん引した。コンディション不良もあってか、9月以降は調子を落とした時期もあった。だが最終盤で調子を取り戻し、助っ人としての役割は果たした。
得点圏打率は.211と、チャンスでは凡退するシーンが目立った。ただ優、良、可の3段階評価ならば、優の評価を与えられてもいいだろう。チーム関係者によると、今季は単年契約。契約が延長されれば、来季も貴重な戦力となりそうだ。
写真=BBM