緩急を使った投球で、プロ6年目にして、初の“一軍完走”。山崎福也は今季、先発ローテーションを守り抜いた。
15試合に登板して5勝5敗で防御率は4.50。貴重な左腕として、存在感を示したシーズンになった。
何より成長を示したのは、変化球の精度が格段と上がったことだ。昨オフに球種を増やそうと、複数種類のフォーク習得を目指した。「速いフォーク、遅いフォーク。スプリットのように揺れるボールを投げていきたい」と話していたように、フォークを投げ分け、打者を翻ろう。シーズンに入ると「スライダーがカーブみたいになっている。スライダーもいい感覚で投げられている。投球の幅が広がりました」と手応えを感じていた。
シーズン終盤には「肩、ヒジの疲れもあると思うので、キャッチボールをするときは集中してやって、休むときはしっかり休んでというメリハリをつけています」と疲労回復の工夫も忘れない。「(相手打線のことは)特に考え過ぎずに自分の投球ができればいいかなと思います」と精神面でもどっしりと構えられるようになったのも、成長の理由だ。
常々「しっかりと結果を残したい。1勝でも多く勝てるように頑張ります」と話すように、チームの勝利を考えてマウンドに上がってきた。日ごろから投球のリズムを意識し「ストライク先行で打たせて取るのが自分のピッチングかなと思う」と、チームに流れをもたらす投球を心掛ける。
来季でプロ7年目の29歳を迎える。
「結果にこだわってマウンドに上がりたい。自分のスタイルは変えず、打たせて取る投球でいきたい」
かつてのドラフト1位左腕も、中堅となった。来季はチームの中心選手としてフル回転し、先発左腕の太い“柱”となりたいところだ。
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