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DeNA・梶谷隆幸 想像を超えるパフォーマンスを発揮した32歳/ペナントレース精勤賞

 

8月には国内FA権を取得。野球人生にとって大事な1年を、最高の形で締めくくろうとしている


 決してレギュラーを確約された立場ではなかった。32歳。若手が多くを占めるDeNAで、梶谷隆幸は想像を超えるパフォーマンスを発揮してきた。「かなり厳しい戦いになると思います」と覚悟した2020年のシーズン。かつて不動だった外野のポジションは主将・佐野恵太を中心にソトオースティンらで固められつつあった。自身は18年の右肩手術から歯車が狂い、昨年まで2年連続で41試合出場。「結果を出す。その気持ちしかありません」と初心を思い出すように猛練習を積んだ。

 オフはほぼ無休。2月の宜野湾キャンプでは、鬼気迫る表情でバットを振る姿があった。新型コロナウイルスによるシーズン延期。自主練習期間でもそれは同じで、ラミレス監督もベテランの決意を感じていた。6月19日の広島戦(横浜)は「一番・中堅」で開幕スタメン。コンスタントに安打を重ね、一時は打率.368まで上昇した。極端に調子を落とすことなく、9月には大きな花を咲かせてみせた。「偉大な先輩の記録を超えられて感無量です」と30日のヤクルト戦(横浜)で球団新記録となる月間42安打。この月は打率.378と驚異的で、5年ぶりの月間MVPを受賞した。

「今、日本一の一番打者だ」と称賛したのはラミレス監督。10月18日の巨人戦(横浜)では逆転満塁アーチを含む、自己最多タイの6打点をマークした。最終戦を前に打率.328で首位打者につける佐野に対して、梶谷は打率.325でタイトルの可能性を残す。今季限りで退団する石川雄洋とともに低迷期を知る生え抜きの看板選手。世代交代という言葉は不要だ。

写真=大賀章好
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