今季、初の規定投球回に到達した高橋光
昨季、プロ5年目で念願の2ケタ勝利を達成した
高橋光成。防御率4.51は自身のキャリアの中で最も高い数字ではあったが、それでも「2ケタをクリアして初めて見えたこともある」と、1つ段階に到達した手応えをはっきりとつかんだ。
そして迎えた今季、自身は開幕から2試合連続勝利を挙げ、幸先の良いスタートを切ったかに見えたが、以後、5試合中4試合で5失点以上を喫し5連敗。なかなか思いどおりの投球ができず苦悩の日々が続いた。
そこで状況を打破すべく取り入れたのが
栗山巧、
中村剛也ら経験豊富な好打者たちから打者心理を聞くことだった。「『こういうふうに待っているんだ』ということを聞けて、投手とはまた考えていることが違うと分かったで、すごく勉強になります」。どんなに完璧に納得のいく球を投げても、それが打者にとっても打ちやすい球であれば意味がない。抑えるためには、どういう駆け引きが必要なのか。結果を出していく上で非常に貴重な気付きを得た。
重心の乗せ方、体重移動のバランスなどフォームの部分でもピタリとハマるポイントが見つかり、投球内容が劇的に良化。9月1日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)では7回1安打無失点、8日の
オリックス戦(メットライフ)では、惜しくも9回に安打を打たれノーヒットノーランこそ逃したが、1安打完投完封を果たした。さらに10月は走者を出しながらも3試合連続無失点と、粘りの投球を披露。安定感が増したことで、イニング数も伸びていった。
最終的に8勝と、2年連続10勝をクリアできなかったが初の規定投球回数到達は成長の証だ。カード頭、2ケタ勝利、規定投球回と一つひとつ“エースの条件”を経験している23歳右腕。来季はいよいよ本格的に「エース」の称号獲得に挑みたい。
写真=BBM