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ヤクルト・高津臣吾監督 育成体制をより強化し、チーム力の底上げを図る/指揮官が見据える2021

 

就任初年度は断トツの最下位に終わったが、光も見えている


 決して満足のいくシーズンではなかったはずだ。投打に課題が残り、2年連続の最下位。高津臣吾監督は11月末のオーナー報告で「順位を上げることが全てだと思います」と逆襲を誓った。

 一にも二にも取り組むべきは、投手陣の整備だ。チーム防御率4.61は12球団ワースト。特に先発陣は、1年間ローテーションを守ったのが10勝を挙げた小川泰弘のみで、新助っ人のイノーアクックはともに未勝利に終わるなど誤算も続いた。

 一方、打撃は20歳の村上宗隆が、球団日本人選手初の全試合に四番で出場するなど奮闘。だが、夏場に山田哲人が故障で抹消されるなどベストな状態の戦力が整わず、チーム打率.242はリーグワーストで468得点は同5位と低迷した。

 来季、指揮官が求めるのは「緻密さ」だ。「打つ、走る、守る、投げるだけじゃない。もっと奥深い、細かなことを要求していきたい。もっと成長して、いろいろなことができる集団にしたい」と口にする。

 成績だけ見れば厳しい数字が並ぶが、投打に若手が台頭。育成コーチを新設し、投手部門はファームのコーチを4人体制にするなど育成にも力を入れる。細部までこだわる“高津野球”が浸透すれば、強力な集団に生まれ変わるだけの逸材はそろう。そして「ムネ(村上)のしっかりとした四番打者としての成績と、奥川(奥川恭伸)をプロ野球の選手にしてあげるというのは大きな目標の一つです」と球団の近い未来も見据えている。

 来季のチームスローガンは『真価・進化・心火』。「お客さんが喜べる野球をしないといけないと改めて思いました」と高津監督。ファンに最高のプレーと勝利を届けるために――。2021年の戦いに、注目だ。

写真=川口洋邦
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