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DeNA・三上朋也 勝負の8年目へ静かに熱く燃える/最年長の意地

 

新球を武器に完全復活なるか


 現実は厳しかった。それを受け止め、三上朋也は「何が何でも、という思いです」と新たなシーズンへ目を向けた。「納得できるボールと、できないボールの差が激しかったです」。自己最多タイの65試合に登板した2018年をピークに、ここ2年は6試合、10試合と出番が減少。昨季限りで藤岡好明が現役引退、井納翔一もFAで巨人へ移籍するなど、31歳で武藤祐太平田真吾らとともに投手陣最年長になった。若手主体のDeNAで避けては通れない世代交代の波。「今年はしっかりと勝負ができれば」と力強く決意表明した。

 14年にドラフト4位で入団し、プロ1年目からフル回転した。中畑清監督から泣きどころだった抑えに指名され、堂々の21セーブ。新人では当時の球団新記録だった。主に勝ち試合を託され、16年から3年連続で50試合登板をクリア。侍ジャパンのユニフォームにも袖を通した。状況が暗転したのは、一昨年に受けた右ヒジのクリーニング手術。「いい時を100だとすれば、50〜70くらい。思うように出力が出せなかったり、回復が遅かったり……」とは不調時に抱えていた悩みだった。

「自分がやるべきことをしっかりやる。それだけは続けないといけない」。過去には選手会長を務めた責任感の持ち主。激しい競争に生き残るため、直球とスライダーに頼りきりだった投球スタイルにも変化を加えた。「スライダーピッチャーだ、という打者の印象を邪魔するようなボールになれば」と昨季から本格的に練習を重ねてきたシンカー系の新球。完全習得は間近のようで「とにかく一軍で投げないと。もう一度自分の良さを出したい」と手応えを隠さなかった。通算111ホールドの実力者。勝負の8年目へ、静かに熱く燃えている。
写真=大賀章好
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